慶應法学部小論文

2020慶應法学部小論文の解き方は?解答例、論点などを詳しく解説

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2020年慶應
法学部小論文
アジアの近代化

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2020年慶應法学部小論文「アジアの近代化」

今回は2020年、慶應法学部小論文「アジアの近代化」を解説していく。今回の小論文では、「アジアの近代化」が西欧という普遍的なものを真似たものではなく、独自の文化や価値観を反映した上で成し遂げられたものだという内容だ。この意味を十分に理解した上で要約を記述し、これに対しての具体例や、あなたの意見を述べることが求められた。

その解答としては、アジアの近代化はやはり西欧化とは大きく異なるものだ、例えば、、、と具体例を論証したり、あらたなイデオロギーが社会に根付く難しさなどについて精神世界と物質世界の解離について述べることが必要である。

今回はそのための具体的な歴史的事例や、要約の内容解答例などを紹介していく。

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解答例

アジアは近代化を推し進めるにあたり、西欧の技術体系に普遍性があると認め、それを支える社会制度やイデオロギーを導入しようとした。その結果、工業化の進展に伴い、国富は増大し、国民生活の向上、民主制度の確立が進んでいった。他方で、このような工業化は物質的な変革と並び精神的な変革も余儀なくする。だが、古い調和が急激に覆された時、自分がなんであるかというアイデンティティを明確に位置付けられず、自己の崩壊に繋がる場合も少なくない。そのような時、社会には自己中心主義、侵略的拡張主義、極端な民族主義が現れる。

したがって近代化は「普遍性」といった単一の物差しで測られるべきものではない。なぜなら近代化は各国・各文化の中で独自性や多様性の中で発展してきたものであり、それを担う人々の自己実現の過程とも言えるからだ。このような議論から、筆者は社会における自分とは異なった他の人々の存在を認め、その尊厳を重んじ、共存を図る必要性を主張している。

明治期の日本は、安政五カ国条約などの不平等条約を改正し、国際法対象国としてみなされるべく欧化政策を行った。例えば、富国強兵政策により、学制、兵制、税制の改革を行い、殖産興業政策により資本主義育成を試み、これまでの慣習、制度を一新した。しかし、このような西欧化政策に対し、世論には異質の外来文化や思想に対する嫌悪感が広がり、尊王攘夷運動に始まる国粋主義や、ナショナリズムの高揚、ひいてはそれがファシズムにまで繋がっていった。

明治政府による欧化政策は、それに反発する勢力である伝統主義や天皇制擁護の立場からの右翼運動を促進させた。このような運動は昭和初期における満州事変や日中戦争におけるファシズムへと発展していた。近衛内閣下においては、大東和共栄圏思想に見られる民族主義を前面に押し出した政策が打ち出された。このような国家主義的なイデオロギーの台頭の背景には欧米の近代化を普遍なものとして捉え、促進させた結果、日本というアイデンティティをむしろ激化させ、侵略的拡張主義に繋がったと言える。

グローバル化によりモノ、人、カネがより繋がった現代において、民族主義的な主張はより叫ばれるようになった。例えば、欧米での極右政党の勢力拡大や拝外主義的な主張である。だが、負の歴史を繰り返さないためにも他者の尊重を認める重要性を忘れてはならないだろう。

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設問解説

今回の設問では筆者のアジアの近代化に関する「議論」を400字程度で要約した上で、「その議論に対しての具体的に」にに論じることが求められた。

したがって、小論文を書く際に必ず含めなければならない内容として、

①筆者のアジアの近代化に関する議論を明らかにし、400字程度で要約する
②その議論に対して、賛成、反対など立場を明らかにした上で意見を述べる
③意見を述べる上で、歴史的事例や、直近のニュースなど具体例を交えながら解釈をつけて論証する

ことであろう。

要点の解説

筆者の主張する、近代化に関する議論とはなんだろうか。

2020 慶應法学部小論文の解答を行うに当たって重要なのは「近代化の独自性」という視点を捉えられるか否かである。今の我々の生活を形作っているのはいわゆる「近代化」が基礎となっている。それは例えば、資本主義社会であり、民主主義社会だ。

2020 慶應法学部小論文「アジアの近代化」を理解する上でのポイントは2つだ。

一つ目は、近代化は、西欧社会に代表されるような普遍性を実現する過程ではなく、各国、各文化の中で独自の顔を持った社会変革と自己実現であったということ。

二つ目は、近代化は、産業化や資本主義化といった物質的側面だけではなく、精神的な側面があるということだ。

各国、各文化の中で独自の顔を持った社会変革と自己実現であったということ。

近代化とは、一般的に農業を中心とした封建的な社会構造から産業化を通して資本主義的で、合理的な社会が実現していくまでのプロセスをさす。

近代化は18世紀後半のイギリスの産業革命に始まり、ヨーロッパ諸国が次々と産業を産み出し、合理化された資本主義社会が進んでいった。

日本においても、国力をつけるために産業化を進めようと明治政府は欧米の産業制度や民主主義という統治制度を学び、「欧米に追いつき追い越せ」という「脱亜入欧」のもとで、成長を続けて行った。このような歴史を見れば、近代化とはすなわち「欧米化」することであるように感じてしまう。

これが意味するのが”産業革命を経た西欧列強の圧倒的な力に直面し、彼らの技術体系に普遍性があると認め、社会制度やイデオロギーを導入しようとした”という文言だ。

つまり、19世期の日本をはじめとするアジア諸国は、ヨーロッパという絶大な力を前に、ヨーロッパを真似することこそが、国をよくすることだと感じるようになった。

だが、このような価値観は後に大きな問題をうむことになる。それが、物質的な世界と精神的な世界の分離である。

 

近代化には精神的な側面がある

例えば日本は産業化や資本主義化、民主主義化といった西欧の社会制度やイデオロギーを積極的に取り入れた。だが、本来的にヨーロッパと日本は全く違う国である。ヨーロッパ人がキリスト教におけるカトリックとプロテスタントという信仰の差で戦争をしている間、日本は江戸幕府による将軍統治から、町では侍が跋扈し、士農工商制度という身分制度のもとで生活している。

そんな、全く違う国に、いきなり明治政府が現れて、これまで行ってきた幕藩体制は廃止!今日から侍は刀も禁止で身分制度も撤廃!これから政治は将軍ではなくて議会がやります!米は食べるのをやめて、パンを食べましょう!といきなり言い出す。

このような改革は、産業化を押し進める上では重要な役割を果たした。しかし、この急激な変化に社会が、民衆の心が追いついていたわけではない。急進的な改革は、人々の不安を煽り、日本という国のアイデンティティを壊した。その結果、社会的な自己中心主義や、民族主義、排外主義などが生まれるという弊害をもたらしたのだ。

だからこそ、西欧という価値観は絶対的なものではなく、自国のアイデンティティや文化という視点は重要なのだ。

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近代化とは

以上の解説を読み、近代化について、もっと知りたい!理解を深めたい!と思った方はこちらの記事で理解を深めて欲しい。

https://aofile.net/modernisation/

論証の内容

上記のように、筆者は「アジアの近代化」を西欧化とは異なるものと捉えており、近代化を成し遂げた国々は西欧をただ真似したわけではなく独自の文化的価値観が反映されていたと述べる。そうでなかった場合には、精神世界との分離が起き、アイデンティティが壊れてしまうことから社会が不安定化する。

このような要点を押さえた上で、論証をするにあたり使える具体例を紹介する。論証は感覚的に物事を述べるのではなく、歴史的事実に適切な解釈を与えてあげることが重要だ。

今回は、日本の近代化、中国の近代化を例に、アジアの「独自」の近代化とはどのようなものであったのかを解釈してみよう。

日本の近代化

日本の近代化はまさに「西欧化」とは異なる独自の発展を成し遂げたものだ。そもそも日本は、明治政府の「西欧化」政策によって順風満帆に近代化を成し遂げたわけではない。

確かに明治期の日本は、「富国強兵」政策のもとで、殖産興業に力を入れ、工業化を成し遂げた。資本主義社会へと移行していくために、これまでの慣習、制度を一新した。

しかし、このような西欧化政策に対し、世論には異質の外来文化や思想に対する嫌悪感が広がり、尊王攘夷運動が広まった。これに伴う戊辰戦争では革新派が勝利を修め、明治政府に政権が映ったわけだが、「上からの近代化」による急進的な改革は、それについていけない不安な国民を多く産み出した。

このような不安は、第二次世界大戦期における日本のファシズム、ナショナリズムの高揚、過度な愛国心教育へとつながったわけである。

この歴史からわかることは、急進的な物質的な改革は、「精神」という科学では計り知れない「自己」と激しくぶつかり合うということだ。この精神という側面を考慮しなければ、適切な統治は行うことができないのだ。

このような日本の明治維新における近代化のプロセスが、決して順風満帆ではなく、精神世界との乖離があったことなどを述べられると良いだろう。

 

中国の近代化

「中国は近代化したのか」という問に対して、「遅れた国だ、近代国家ではない」と評することは無理があるだろう。確かに民主主義体制を採用する国家ではないし、様々な人権侵害が見られる。しかし、ここ20年で最も経済成長を達成し遂げ、国際社会でここまで大きな影響力を持った国を、経済という視点から「遅れた国」ということは難しい。

中国の近代化を押し進めた政策「改革開放」を行った鄧小平という人物がいる。彼の放った有名な言葉に

「白い猫でも、黒い猫でも、ネズミを取ってくるのがいい猫だ」

というものがある。

これは、経済成長が成し遂げられるのでれば、その手段は問わない。という意味だ。

この言葉の通り、鄧小平は社会主義を採用する中国において「社会主義市場経済」という新たな概念を持ち出し、国家が経済を管理しながらも一部の経済特区では資本主義活動を認めるという政策で、世界で最も経済成長を果たした。

このような事例も、「アジア独自の近代化」と捉えることができるだろう。

 

まとめ

近代化は、今回の小論文に限らず、英語における長文読解や世界史/日本史においても超頻出重要テーマである。そのような歴史的事実をただ「覚える」のではなく「解釈」できるようになることで、その他の科目もぐんと点数が上がる。だからこそ、小論文の勉強をただ「書く」ためだけではなく、「理解する」ことに重点をおいて勉強を進めていくことが重要だ。

 

慶應法学部小論文2010年度〜2020年度解答と解説

慶應法学部2010年〜2020年 慶應法学部小論文の解答と解説、勉強方法などを記載しています。

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