AO/総合型選抜対策

志望理由書が進まない理由/やるべきことを1/100にするリサーチ方法とは?

london new york tokyo and moscow clocks

志望理由書が進まない理由
やるべきことを1/100にする
リサーチ方法とは?

あなたの志望理由が進まない理由

「テーマが決まった!」これから志望理由書を進めよう!

そう思ってから一週間、1ヶ月と、たくさん本を読んだり、自分でノートとって見たりしたけれど、なんだかしっくりこないな、、、もしかしたら自分にあってなかったのかもしれない、、、テーマ変えようかな、、、

このような状況は、AO入試を受けようと思った受験生の7割以上が陥る、最も典型的な悪い傾向である。このようなタイプは、結局いつになっても漠然としたテーマは決まっているものの、本質的なテーマが決まらない。直前の一週間になるまで、最悪残り3日になるまで決まらない者も多くいる。それはひとえに、「本質的に向き合わねばらなない問」に向き合わなかったことが原因だ。

本記事では、慶應義塾大学環境情報学部教授、安宅和人氏の名著『イシューからはじめよ』を参考に、あなたの志望理由書の進捗を10倍早く進める方法を紹介する。

人間とは元来怠け者である。締め切りに終われければできないし、自身の行動をすぐに肯定してしまう。だが、イシューに基づいたリサーチができれば、「やるべきこと」は1/100になる。本当に知りたかったことを、今までよりも「早く」「質高く」知る方法をここで紹介する。

「考える」と「悩む」の違い

安宅氏は、本書において、「考える」と「悩む」の違いについてこのように説明している。

悩む・・・答えがでないという前提の下、考えるフリをすること
考える・・・答えがでるという前提の下に建設的に考えを組み立てること

安宅和人『イシューからはじめよ』p5

つまり、考えるとは「答えを出す」ということだ。

あなたの志望理由書のテーマは、あなたにしか分からない。しかし、多くの人は、自分の志望理由書のテーマを探すに当たって、「悩んで」しまう。ああ、もっといろいろ調べなきゃ、あの本も読みたい、この本も読んでおかなきゃ、、、あれ、私って何を調べてるんだっけ、、、

例えば、あなたの研究テーマが「日本の貧困」であったとする。多くのAO入試挑戦者が陥るのが以下のような典型パターンである。

月曜日「まずは、日本の貧困について調べよう!えーっと、日本の貧困率は、、、」

火曜日「日本の貧困率についてはわかったから、次は海外と比較してみよう、へー!日本の貧困率って世界でも低いってわけじゃないんだ、なるほど〜〜」

水曜日「とりあえず一冊本を読んでみよう、、うーん難しいな、、、」

木曜日「もっと事前知識がないとだめだ!まずは貧困に関しての知識を深めるためには、福祉の知識もないと!!!」

金曜日「あれ?なんか今、福祉について学んでいるけど、何やりたかったんだっけ??」

 

研究とは、ある問題に対して、仮説を設定し、それを検証し、また仮説を作り、検証を繰り返していくものだ

しかし、上記の例では、目的が不明確なまま、闇雲に調べ学習を行っている。

本当に価値のあることは、リサーチのうち2%しかない

世の中で「問題かもしれない」と言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒はっきりさせるべき問題はせいぜい2つか3つくらいだ

安宅和人『イシューからはじめよ』p28

「何も考えず(イシューを設定せず)に」闇雲に研究を進めた場合、あなたが行ったリサーチのうち、2%か3%程度しか、進捗につながらない。

このことは志望理由書を進めるに当たっても言えることだ。

あるテーマに関しての先行研究は腐る程あるし、高校生には知らないことが多すぎる。だからこそ、「本当に自分の目的達成のために解かねばならない問」をいかに正確に、早い段階で設定できるかがキモとなる。

やるべきことを1/100にするためのアプローチ方法

あるべき姿から逆算しよう

では、あなたの志望理由書を効率的に、短い時間でグングン進めるために必要なことはなんだろうか。

まずは「ゴール(あるべき姿)の設定」を行うことだ。

例えば、あなたのテーマが「核問題」であったとする。しかし、核問題といっても、ゴールが「核をなくす」ことなのか「核の必要性を立証する」ことなのかによって、行うべきリサーチは180°異なる。

だが、多くの人は、「とりあえず私のテーマは核問題だから、核のメカニズムについて調べよう!核には抑止力があって、この国と国は核を保持してて、、、」というようにリサーチを行う。しかし、本来このようなリサーチは、目的があって初めて行うものだ。

「核を世界からなくす」という目的を達成するために、「核の抑止力」といったメカニズムを調べる必要があるのだ。ゴールの設定が曖昧だと、リサーチの目的が分からなくなり、結果的に進捗しなくなる。

だからこそ、まず最初にゴール(あるべき姿)を決めることが重要だ。

 

「解の質」より「課題の質」を重視しよう

志望理由が進んでいる状態とは、すなわち「あるべき姿」に向かって近づいていっている状態だ。

そのあるべき姿に、早く、効率的に近づくためにはどうしたら良いのだろうか。

その答えは、「解くべき問を見極める」ことだ。

安宅氏は、価値のあるアウトプットを以下のように定義している。価値のあるアウトプットとは、「あるべき姿」へ近づくための方法、施策と捉えていただきたい。

 

価値のあるアウトプット=イシュー度(課題の質)✖️解の質

イシュー度(課題の質)・・・自分の置かれた局面で、この問題に答え出す必要性の高さ
解の質・・・イシューに対して、どれだけ明確な答えを出せている度合い

安宅和人『イシューからはじめよ』p22

 

[adchord]

世の中の多くの人々は、与えられた問に対して、いかに高いアウトプットを出すか(解の質)には注力するが、「なんの問に答えるか」に注力する人は少ない。

この「なんの問に答えるか」を考えないまま闇雲にリサーチを続けた場合、とにかく片っ端から本を呼んだり、調べ続ける羽目になり、永遠に時間がかかってしまうのだ。

だからこそ「解くべき問題」を明確にできれば、必要のない調べ学習をしなくて済む。価値のあるアウトプットにのみ時間を使えれば、あなたの生産性は10倍は上がる。

つまり、「イシュー度の高い設問」を設定することが重要だ。

イシュー度の高い設問(解くべき問題)とは何か

イシュー(issue)とは、「論争、問題」を意味する英単語だ。

「issueからはじめる」とは、「問題」や「論争」から始める、という事になる。つまり、自身のテーマに関しても、論争や、問題となっている点から考える、というものだ。

そして、「イシュー度が高い」状態とは、自分の置かれている状態において「答えを出す必要性の高さ」を指す。

つまり、「イシュー度の高い設問とは、問題や論争の中でも、自分が答えを出さなければならない必要性の高いもの」なる。

イシュー度の高い設問の特徴として、答えが出ると、これからの未来のシナリオが大きく変わることが挙げられる。

例えば、「核問題」において、イシューの高い設問は、「核の抑止力は、戦争を防ぐためにどの程度有効なのか?」といった問である。

この問は、答えが出た場合、世界における軍事の価値観が大きく変わり、国の外交や国際関係を大きく変える。だからこそ、このような問は取り組む価値がある。

 

良い課題の見つけ方| なぜを5回繰り返す so what 分析

なかなか本質的なイシューを見極められない、という人におすすめなのが

トヨタ式「なぜなぜ分析」だ。ある事象に対して「なぜ?」を5回繰り返すことで、問題がより具体化され、イシューが明確になる。

なぜなぜ分析に関しては、以下のURLを参考に試して見て欲しい。

https://infinity-agent.co.jp/lab/5whys-nazenaze-analysis/#:~:text=%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%82%92%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%AD%E3%81%AB,%E6%B4%97%E3%81%84%E5%87%BA%E3%81%99%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E5%BE%8C%E3%81%AB%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8C%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%8C%96,%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

 

[adchord]

効率的にリサーチを進める方法

『イシューからはじめよ』では、具体的なリサーチ方法について、様々な手法を紹介しているが、ここでは特に志望理由を進めるにあたりおすすめの3つの方法を紹介する。

徹底的に仮説を立てる。答えを出そう

仮説を立てて、それに対して検証をするという方法は、最も速く「あるべき姿」に近づくための方法を考えられる。

例えば、「アベノミクスは貧困率と関係があるのか」といった曖昧なイシューを設定するのではなく、「アベノミクスは貧困率の現象に○%程度効果があるのではないか」というように、具体的に答えが出るように設定するべきである。

このように「答えの出るように」仮説を設定し、その検証を繰り返すことであるべき姿を実現するための方法がわかってくる。その仮説が間違っていたとしてもそれは、その仮説は間違っていた、という結果がわかることは研究の進捗だ。

最もよくないのは、調べたことに対して「だから何?」と返されることである。

変数を削って、シンプルにオリジナリティを出そう

できるだけ、具体的に、イメージしやすいレイヤーにまで絞って考えることも重要だ。例えば、ただ漠然と「貧困をなくしたい」というのではなく、「日本における子供の貧困率を16%から10%まで下げる」であったり「日本の貧困でも特に地方、さらに限界集落の貧困」、もしくは「貧困の中でも、前科者の貧困」といったところまで具体化させたほうが、自分も、そして相手にもイメージがしやすくなる。

あなた一人で、そこの関連した分野の問題を全て解決する必要はない。最も自分にイメージのしやすいところまで絞って対象をイメージしよう。

とにかく人に話そう。アウトプットドリブンのすゝめ

志望理由を進めていく上で、「人に話す」というのは最も簡単で、効率的な進め方だ。相手は誰であってもいい。親でも友達でも兄弟でも、話を聞いてくれる人であれば問題はない。

大事なのは、「人に話す」ことによって自分の考えを整理することだ。人は、自分の考えていることを人に話すことで「ストーリー」を組み立てながら、相手に伝わるように話すことを自然と意識する。

最初はまとまらなくても、話をしていくうちに考えがすっきりしていく。ラーニングピラミッドなどでも示されているように「誰かに話す」ことほど、自分の身になる勉強法はない。特に進捗に詰まった時ほど人に話すことが薬となる。

自分の研究テーマを人に話すことは少し恥ずかしいかもしれないが、人に話せば話すほど、あなたの研究は速く、質の高いものとなっていく。

 

AO入試を進めるにあたり最も重要なことは「自主的な思考力」である

[adchord]

ここまで、あなたの志望理由書を効率的に進めていく方法を紹介してきた。多くの人は、研究やテーマを深堀するに当たって、ずっと悩んでいまい、進捗がしない。

しかし、いくら悩んでも、リサーチしても、自身の頭で考えなければ、あなたの研究は進まない。あなたの志望理由は、あなたにしか考えられない。

あるべき姿は、人それぞれ違って当たり前だ。リサーチは、自分の明らかにしたい目的があるからこそ行う物だ。もしもあなたが、できるだけ効率的に、質の高いアウトプットを出したいのであれば「自分で考えて答えを出す」このスタンスだけは忘れないで取り組んで行って欲しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です