高校生から始める研究活動
研究の進め方と研究計画の作り方
「研究ってなんだか難しそう、、、」
「高校生が研究活動なんてできるの?」
高校生でも、学校課題での自由研究や、AO/総合型選抜を進めていく中で、「研究」に関して悩んでいる人は多いででしょう。
今回の記事では、高校生が研究を進めていく方法についてわかりやすく解説していきます!
本記事を読めば、以下のことが理解できます!
【本記事を読んだら理解できること】
・研究とは何か
・研究を進めていくための5つのステップ
・研究計画の作り方
それではいきましょう!
研究とは何か
「研究を行う」と言われた場合に、そもそも研究とは何かについて考えなければなりません。
研究で重要なのばこの二つです。
・未知のことを明らかにすること
・社会に有用であること
研究とは、一言で言うと
「まだ未知のことを明らかにしていくことで、既知の領域(既に知られていること)を広げる活動」
を意味します。
つまり、今はまだわかっていないことなどを、明らかにしていくための作業を研究といいます。
「今はまだわかっていないことなんてあるの?しかも高校生なのに、、」と疑問に思うかもしれません。
確かに、本や論文、インターネットなどを読めばたいていのことはわかります。このようなすでにわかっていることを勉強することは研究ではありません。
未知を開拓することが研究の目的だからです。
しかし、世の中には今はまだわかっていないことはたくさんあります。なぜなら、社会は日々大きく変化するからです。
インターネットが普及したのは今から20年ほど前ですし、スマートフォンができたのは2008年です。誰が大統領になるのか、何かしらの一つの事件が起きた、たったそれだけで、これまで本に書いてあったことは、過去のことになります。
それらを踏まえた上で、あなたが新しいこと、独自なものを探究していくこと、それが研究活動です。
その上で、研究において重要なのは「社会のためにならなければならない」と言うことです。
もちろん、自分が知りたいことを探究することが悪いわけではありません。しかし、ただの自己満足で終わってしまう研究は、研究としての意義がありません。
だからこそ、「研究は社会のためにならなければならない」と言う側面があることは忘れてはなりません。
一方で、自分がどうしても明らかにしたいこと、と言うのは、えてして「社会的意義」につながる場合が多いです。
また、一見この研究なんの役に立つんだろう?と思っても、別の観点から見れば重要な意義がある場合もあります。それを伝えてあげる努力をすることは重要です。
したがって、研究の社会的意義に関して神経質になる必要はありませんが、研究は社会のために行うものなんだ、と言う意識は持っておくべきでしょう。
「研究とは何か」に関しては、研究とは何か。研究と勉強の違いについてで詳しく解説していますので、こちらも合わせて参照ください。
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研究を進めていくための5つのステップ
ここまで、研究とは「まだ未知のことを明らかにしていくことで、既知の領域(既に知られていること)を広げる活動」であり、
研究活動とは「今はまだわかっていないことなどを、明らかにしていくための作業」であるとわかりました。
では、具体的に、この研究活動とはどのように進めて行けばいいのでしょうか。
ここでは、研究を進めていく5つのステップを紹介していきます。
研究を進める5つのステップ
①テーマ/トピックの設定
②研究目的の設定/研究背景の整理
③研究対象の設定
④方法論と方法の設定
⑤先行研究の調査
研究を計画的に効率よく進めていく上では、この5つの手順を進めていく必要があります。
それらのスケジュールや、手法を先にまとめていくと研究がとてもスムーズに進みます。このような計画を立てることを「研究計画」といいます。
①テーマ/トピックの設定
研究を進めていく上で最初に行うべきなのは「テーマ/トピックの設定」です。
言い換えれば、この研究は
「何を調べる研究なのか」
「どのような問いや仮説をたてるのか」
を考えることです。
つまり、何を調べるのかを決めましょう。
例えば、宗教なのか、海洋ゴミなのか、二酸化炭素なのか、貧困なのか、核なのか、中国なのか。
まずはなんでも良いので、自分の興味のあることを書き出してみて、
「もっと知りたい!」と思うことを探しましょう!
テーマ/トピックの設定のコツ
ではテーマ/トピックはどのように決めればいいのでしょうか。
テーマは基本的には自由に決める場合が多いですが、決めるコツとしては二つの方法があります。
1)興味/関心型
一つ目は興味関心型です。ある事象に出会って、純粋に驚きや興味を持ったことをもっと明らかにしたい!とか
日頃から関心があることに疑問を感じていることについてもっと考えたい!
というタイプです。
2)問題意識型
二つ目は問題意識型です。
問題意識型は、日頃から、「もっとこうなればいいのに」「こんなふうにすれば社会ってもっと良くなるのに」と言う問題に対して、解決方法などを探究していくやり方です。
もちろん、これ以外にもテーマ、トピックの選定方法はあります。しかし、テーマ選びに迷っている人は、日頃の自分を思い返して、興味関心や問題意識がないかを探ってみましょう。
AO FILEでは、自身の研究テーマ/トピックを探る方法も以下の記事で紹介しているので合わせてご覧ください。
志望理由のテーマが格段に見つけやすくなるアイディア発想方法とは
数あるテーマの中から、自分に最適な志望理由のテーマを選ぶには
②研究目的の設定/研究背景の整理
次に行うべきなのは、研究目的の設定と研究背景の整理です。
このステップでは
なぜその研究をするのか、何を明らかにするのが目的か
を明らかにする必要があります。
研究目的の設定
最初に決定すべきなのは、研究目的です。
研究目的とは、研究のゴールを設定することです。
言い換えれば、「何のために研究をするのか」を最初にまとめましょう。
テーマと目的は実は大きく異なります。
例えば、あなたが海に多くのゴミが捨てられている「海洋ゴミ問題」に関心があったとします。
その時に、なぜ海洋ゴミ問題に関心があるのかによって目的の設定の仕方が大きく異なります。
あなたがもし、海洋ゴミ問題に関心がある理由が、
「小さい頃からイルカが好きで、そのイルカがゴミの中で泳がないといけないことが可哀想」
ということであれば、
あなたが海洋ゴミ問題に取り組む理由は「海洋生物を守るため」です。
逆に言えば、海洋生物に影響を及ぼさないゴミに関しては放置しても良いと言うことです。(これは問題ではありません)
一方で、あなたが海洋ゴミ問題に関心がある理由が「他国と比較してゴミの総量が多く、それが国際社会で批判されている」というものであれば、
目的は「ゴミの総量」を減らすことになるでしょう。
その場合には、マイクロプラスチックのような小さなゴミは問題とならないことになります。
このように、自身が「何のため」に研究を行うのかを明らかにすることを研究目的の設定と言います。
研究背景の整理
研究目的が設定した後には、研究背景を整理しなければなりません。
ここでいう研究背景とは先の海洋ゴミの事例で話せば
・ここ10年間での日本周辺における海洋ゴミ量の推移
・他国との海洋ゴミ量の比較データ
などといった現状把握を行うものです。
このリサーチは、客観的な数字などを用いて把握するのがベターです。
なぜなら、海洋ゴミは問題だ!と思っていたけれども、実際には数値で比較を行うとそれほど大きな問題ではないことがあるからです。
また、改善に向かっている可能性もあるます。
目的を設定することによって、背景でリサーチすべきことは変わります。
実はイルカは海洋ゴミがあっても害はない、とか、日本の海洋ゴミの量は確かに総量では他国比較では多いが、領土比でみたら多いわけではない、とか数字を適切に解釈できるようになります。
このように、第2ステップでは、目的を設定し、現状把握のために研究背景をまとめることが重要です。
研究目的の設定、リサーチ方法を具体的に行う手法はこちらの記事もご参考ください。
現状分析を進める。統計グラフからデータを読み取るポイントを解説
問題意識とは何なのか。問題発見に欠かせない問題意識を徹底解説
③研究対象の設定
次に行うべきなのは、研究対象の設定です。
この段階では
具体的な研究対象はなにか
を決める必要があります。
具体的な研究対象を決めるとは、言い換えると
「大きな問いから小さな問いへ落とし込む」ことを意味します。
海洋ゴミ問題を解決したい!と言って研究を進めていっても、あれもこれもと手をつけては、結局既存の研究をおさらいだけして、何もできない、、という状態になってしまうことがよくあります。
自身で新しい研究を進めていくことを指します。
研究を進めていく上で、重要なのは、現実可能な範囲で、自身は何を新しく明らかにするのか、解決策を創出するのかという視点が重要です。
したがって
「 解決不能な問題ではないか?具体的な対象は?作業 に落とし込める?」
と言った点を吟味することはとても大切です。
このように現実性を吟味するために、具体的な「研究対象を決める」という作業が必要になるのです。
研究対象を決めるにあたって簡単なのは「細分化」してみることです。
海洋ゴミという大きなくくりではなく、「マイクロプラスチック」とか「ゴム」とか「油」とか、ゴミの種類によってそれぞれ解決方法が全く異なるはずです。
その中で、どれに焦点を当てていくのかを絞っていく、ことなどは研究対象の設定において必要です。
④方法論と方法の設定
目的、研究対象が決まれば、その後に必要なのは、その目的達成のために何を行うのか、という方法論と方法の吟味です。
方法論とは、その方法を行うためのコンセプトを指し、方法とはそれを行う具体的なやり方を指します。
この段落では、目的達成のために必要な方法を吟味することが求められます。
例えば、プラスチックゴミを海から回収する方法としても、海岸清掃、吸引機による吸収、ゴミのポイ捨てに関しての法令の設定、企業に対しての規制など様々な方法が考えられます。
海に出る前に止めよう!という方法論をとるのか、海に出てしまったゴミを拾うという方法論をとるのかでもとるべき施策は異なります。
このそれぞれの方法と方法論の中で、どれが最も適切であるかを吟味するのがこのステップです。
また、この方法論の探究などを行うにあたっては、実際に現場で赴いて行ってみたり、実際に実験するなどのフィールドワークも重要となってきます。
フィールドワークに関してはこちらの記事もご参考ください。
志望理由が進まなくなったら 現場にいこう! フィールドワークのすゝめ
フィールドワークの仕方、メールの送り方、フィールドワーク当日の注意点を解説
⑤先行研究の調査
目的を設定し、その目的達成のために行うべき方法についても吟味できたら次に行うべきなのは先行研究の調査です。
注意点は、ここまで考えた後でしか先行研究を参照するのはおすすめしません。なぜなら、その先行研究に引っ張られ、自身の目的意識が見えずらくなってしまうからです。
先行研究をみるにあたって重要なのは、
「自分の目的意識と、自分の方法論」と「先行研究」の「何が同じで違うのか」を明確に意識することです。
この先行研究のリサーチで明らかにするべきなのは、自分で考えた方法論が適切なのか、そうでないのかに関して示唆を得ることです。
「自分の考えたことを評価する」という視点を持って先行研究を使いましょう。
先行研究の調べ方については以下の記事もご参考ください!
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研究計画を作成しよう!
ここまで、研究を進める上での5つのステップについて話しました。
最後に、この5つのステップを全て一度にまとめましょう!それが研究計画になります。
具体的には研究を進める5つのステップをそれぞれ紙やwordに書き出して、一度まとめましょう。
この研究計画を立てるのは大変ですし、最初は進んでいる気がしない場合もあります。
しかし、闇雲に調べ続けるよりも、最初に自身の目的意識や、方法をきっちりと考えた方が、最終的には良い方向に研究が進んで行きます。
また、研究計画書には、研究を行うことで、どんなメリットや何が明らかになるのか、と言った点も最初に想定しておくことも重要です。
これは仮説ですから、間違うこともあるかもしれません。しかし、実際に「間違った」という結果がわかることは、研究において重要なことです。
具体的な研究計画書に書いて欲しいことはこちらです。
研究計画書の内容
研究を進める5つのステップ
①テーマ/トピックの設定
②研究目的の設定/研究背景の整理
③研究対象の設定
④方法論と方法の設定
⑤先行研究の調査
・その研究を行うことで、明らかになると予想される成果
→研究を通じて何が明らかになると考えられるか、既存研究への貢献はどのようなものがあるのか
・研究を進めていく上でのスケジュール
→具体的にこの5つのステップをどう進めていくのかを現実的なスケジュールとして考える。また、どのフィールドワークをいつ行い、いつまでにどの本を読むかなども締め切り日から逆算してスケジューリングを立てる
まとめ
高校生で研究を行っていくことは大変に聞こえると思います。しかし、実際にしっかりと研究計画をたて、真摯に自分の興味関心に沿っていけば必ず研究は進んでいきます。自由研究やAO/総合型選抜対策を行うにあたって参考になれば幸いです!