本当に現実を変えるなら
「経路依存性」を考慮した問題発見をしよう。
この記事では、自分が問題だと思ったことを解決しても現状が改善されないという事態を防ぐために、現実の改善にちゃんと繋げるための問題発見の視点「経路依存性」を紹介する。
経路依存性とは何か。
経路依存性とは「ある状況においての意思決定は、その状況がこれまで辿ってきた経路の影響を受ける」という経済学の理論である。
日本におけるブラック企業などの現状も「世代間ごとの労働に対する価値観の違い」として顕在化してきているように思える。そのような状況では「労働時間減らそうよ!」と働き方への解決策を提示しても、ブラック企業の被害が違うところに発生してしまったりと、根本的な問題解決にならないケースがある。
このようにリアルでは、
最も優れていると思われている解決策が必ずしも効果を生むとは限らない。
優れた解決策は何かだけを考えていては問題解決が果たせない可能性もあるため、「どういう経緯で問題は発生してしまったのか」を見つめ直すことで、本質的に解決に当たるべき問題を発見することが重要なケースがある。
経路依存性の詳しい説明は、こちらのブログが参考になる。
https://healthpolicyhealthecon.com/2014/09/07/path-dependence/
経路依存性を考慮して、現状を見つめなおす。
経路依存性を考慮せずに状況を見つめてしまうと、理想論(現実の状況は考えずに、理想だけを語る、現実を変えられない考え)となってしまい、問題解決を果たせない仮説を生んでしまうことがある。
だからこそ、自分が問題だと思っていることが解決された時、本当に状況は改善に向かうかどうかを視野に入れながら、現状を考察し直してみよう。
基本的には、問題が発生した経緯(ことの成り行き、どういう過程を辿って問題が生まれたのか)を考えてみることが大切だ。この分析のあり方を、クロノロジー(時系列)と呼んだりもする。
自分が考えるべき現状の経路依存性を視野に入れた分析を図ろう。
フィールドワークで「声」を聞く。
自分が考えたいテーマに関わっている人々の「声」を聞くと、
経路依存性が見えてくる可能性が高いと私は思う。
実際に何らかの被害が発生している現場において、それに精通する人々が何に悩んでいるのか、何に困っているのか、その声を聞いてみることで、問題発生の背景が見えてくるケースは高い。
先ほど例に挙げたブラック企業の現状も、立場が変われば意見が変わるような問題に思える。また「いつから問題になっているのか」という視点でリサーチすることも有効だろう。
フィールドワークの方法に関しては「フィールドワークの仕方、メールの送り方、フィールドワーク当日の注意点を解説」にて解説をしているので、そちらを参考にしてみてほしい。
また、テーマに関わる人々を把握する方法としては、ステークホルダーマッピングという分析手法が有効である。そちらは「問題に苦しんでいる人を可視化する問題発見手法「ステークホルダーマッピング」とは」こちらを参考にして分析してみてほしい。
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まとめ
問題を解決しても現状は変わらないという状況を防ぐための視点「経路依存性」を紹介した。
経路依存性を考慮できるようになると、社会を変化させられる可能性を高めた分析が可能になる。経路依存性を考慮した分析を図り、社会をより良い状況へ変化させるための根本的な問題を発見しよう。
AO FILEでは問題発見の分析手法を他にも紹介しているので、
そちらも参考にして頂けたら嬉しい。
・その他の問題発見手法はここから