原因分析のゴール「課題設定」とは
問題と課題の違いを理解する
問題解決に取り組む人の中で、
「原因分析って、いつまで続ければいいんだろう…、
てか、どうすれば終わったと言えるんだろう。」
と悩んでいる人はいないだろうか。そこで今回の記事では、原因分析を切り上げるポイントである「課題設定」また「課題と問題の違い」について、解説をしていく。
問題の原因を調べすぎるのも、実はあんまり良くない
問題の原因を調べて、解決すべきことをより細かく絞っていくために行う分析手法を原因分析と呼ぶが、
原因分析をいつまで、あるいはどこまで続ければ良いのか、わからないという人も多いと思う。
しかしその認識のままリサーチを続けてしまうと、最悪な状況として「知識が付きすぎて、解決策のアイディアが考えにくくなってしまう」というケースがある。
安宅和人著「イシューからはじめよ――知的生産の『シンプルな本質』」では以下のように、調べすぎはアイディアの芽を摘む、避けるべきことだと述べられている。
「知識」の増大は、必ずしも「知恵」の増大にはつながらない。むしろあるレベルを越すと負に働くことを常に念頭に置く必要がある。(中略)
その分野について何もかも知っている人は、新しい知恵を生み出すことが極めて難しくなる。手もちの知識でほとんどのことを乗り越えてしまえるからだ。一流の科学者がその分野の権威となるようなレベルに到達すると、若かった時のようには強烈なアイデアを生み出せなくなる、というのも同じ話だ。
(安宅和人著「イシューからはじめよ――知的生産の『シンプルな本質』」より抜粋)
問題の原因の理解を深めすぎてしまうがゆえに、「解決策のアイディア」を発想しにくくなってしまうということがある。ある程度、問題の全体像を理解したり、より解決に当たるべき原因を絞ることは大切だが、永遠に原因を調べ続けてしまうという事態には気をつけよう。
そこで次章では「どのようなタイミングであれば原因分析を切り上げられるのか」を解説してみる。
「課題」がわかれば、原因分析は切り上げられる
原因分析は基本的に、問題解決がちゃんと果たせるように、より解決すべきことを定めるために行う分析だ。問題の解決を阻む原因を理解することで、より解決すべき検討事項を絞っていくことが可能になる。つまり原因分析は「何を成せば解決できそうなのか」を考えやすくするために行う分析だと言えると思う。
だからこそ結論「問題解決を達成するために、これからやるべきこと」が設定できるのであれば、一度、原因分析はピリオドを打てると考えられる。
この「問題解決を達成するためにこれからやるべきこと」を「課題」と呼ぶので、覚えておこう。
基本的に「課題」がわかれば、原因分析は切り上げられる。
課題と問題の違い
課題とは何かを、より詳しく説明する。
課題と問題がゴチャゴチャになる人が多いので、その違いに注意しよう。
西山秀樹著「大学1年生からの研究の始めかた」にて、課題と問題を以下のように説明している。
問題は、発生している状況・現象をそのまま述べたものです。一方で課題は、特定の目標を達成するためにこれから為すべきことです。(中略)問題とはすでに発生していることで我々の意思と無関係な自然発生的なものですが、課題は自分で意識して設定するものになります。また問題は、あるべき姿と今のギャップであり、そのギャップを埋める方法が課題です。
(西山秀樹著「大学1年生からの研究の始めかた」より抜粋)
これを読むと問題とは何か、課題とは何かがよく理解できると思う。
基本的には、問題が先にあって、その解決を考えていく中で「課題」を設定していくイメージを持つと良い。そしてその課題を設定しやすくするものが「原因分析」となる。
「北極の氷が溶ける」で考えてみる
具体例を用いて解説する。
問題:「北極の氷が溶けていて、気温上昇を加速化させている」
それがなぜかを考えるのが「原因分析」
原因:「二酸化炭素の温室効果ガスが、氷を溶かす影響として大きい」
課題:「二酸化炭素の放出量を10年以内に50%削減させる」
問題、原因、原因分析、課題の関係性はこの具体例のように整理できると思う。
このような関係性から見えても原因分析のゴールは、解決につながる課題を設定するためと言える。
補足だが、この課題を達成するための具体的な策のことを「解決策」と呼ぶ。
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立ち返ることも、時に大切
この問題発見、原因分析、課題設定、解決策立案という流れは、ときに繰り返したり、あるポイントに立ち戻ったりしながら、柔軟に移行できるようになることが望ましい。
全部を明確に区切ったり、一度課題設定に移ったら、もう二度と原因分析はやらない!みたいなスタンスではなく、必要に応じて「立ち戻る」「考え直す」あり方をお勧めする。
まとめ
原因分析のゴールが課題設定であり、課題を設定するタイミングが原因分析にピリオドを打つタイミングであることを解説した。
今日参考した、安宅和人著「イシューからはじめよ――知的生産の『シンプルな本質』」と、西山秀樹著「大学1年生からの研究の始めかた」は、問題解決を考える上で、かなり参考になる書籍だと思っているので、気になった方は一読してみることをおすすめする。
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